古水力(ふるみずちから)さん
「浦浜念仏剣舞」「金津流浦浜鹿躍」保存会会長
「浦浜念仏剣舞(うらはまねんぶつけんばい)」〜岩手県指定無形民俗文化財〜
岩手県の沿岸南部、大船渡市三陸町越喜来 (おっ きらい) の浦浜地区に伝えられている念仏剣舞。発祥等は不詳だが、江戸時代中期またはその後に始まったものと推測されている。地元では「けんばい」ではなく「けんべぇ」といわれている。 念仏剣舞は「反門(へんまい)の呪術的性格と浄土 信仰とが結合したもの」といわれている。リアス式の地理のため海と山に阻 まれ、かつて陸の孤島と呼ばれた地域の一角である浦浜、そこに生き続けた民衆の素朴な芸能として踊り継がれ今日に至っている。
特徴:浦浜剣舞は胴取り(太鼓)、笛、踊り手と構成される。踊り手は八人構成を基本とし、全員仮面をつけ、踊りの中心ささらは赤地の三番叟、主剣舞から四剣舞の五人は毛ザイ男山と女山は鳥兜をかぶる。
「金津流浦浜獅子躍(かなずりゅううらはまししおどり)」
鹿踊りは、太鼓をつけない幕踊り系と太鼓をつけた太鼓踊り系に大別され、金津流は、太鼓踊り系に属する民俗芸能。装束は、他のいかなる芸能にもみられない一種の威厳さがある。鹿角を横に張り出した獅子頭に長い髪采を豊かに垂らし、上半身を麻の前幕をもって覆い、下は大口袴。頭上に赤地の太く大きい華鬘(けまん)結びと絵柄の流しを後ろに垂らし、背に長いササラを背負う。腰太鼓を斜めに付け、二本の細ばちで、自ら囃し、自ら歌い、躍るところに大きな特徴がある。祖霊供養、悪霊退散、五穀豊穣を祈願し、寺院や民家の庭で躍られ、また、地元の神社の例祭に奉納する神事芸能として伝承されてきた。素朴さの中に高い風格を兼ね備えた金津流は、まさに、東北の至宝であり、日本の代表的民俗芸能の一つといえる。演目には、三光の型(儀式の舞)・礼庭・霧返し・島霧・雌獅子獲り・案山子踊り・鉄砲踊り・土佐がある。芸技の伝承だけではなく、入門の儀・役付の儀・頭譲りの儀・総見の儀・最後に相伝四門の儀、供養碑の建立といった一連の儀式の伝統をも厳格に守り継承されている。